電子商取引への基盤整備
これまで書面(紙)による手続きを必要としていた商取引について、電子的な記録や通知でも商取引を行えるようにするための法整備の例
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電気通信回線による登記情報の提供に関する法律, 平成11年 (1999) 法律第226号 (参考: 不動産登記法, 商業登記法)
高度情報化社会が進展したことをうけて、不動産登記、商業登記等についてコンピュータ・データとして登記簿に記録されている登記情報をより幅広く円滑に使用できるようにするため、それらコンピュータ・データをネットワークを経由して提供できるようにするもの。
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商業登記法の一部を改正する法律, 平成12年 (2000) 法律第40号 (参考: 商業登記法, 公証人法, 民法施行法)
法務省による商業登記の電子認証制度を創設するもの。法務大臣の指定した公証人(指定公証人)は、電磁的記録に電子署名をしたとき又は電子署名に対して、認証および確定日付を与えることができるとするもの。 指定公証人は、認証を受けた電磁的記録を保存し、その内容に関する証明をする。
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電子署名及び認証業務に関する法律 (電子署名法) 平成12年 (2000) 法律第102号
特定認証業務に関する制度その他必要な事項を定め、電子署名を導入することで、電子的記録の証拠としての機能を確定し、各種法的事務の円滑化、情報化の促進を図る。
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書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律 (IT書面一括法) 平成12年 (2000) 法律第126号 (参考: 改正対象法律が多数のため割愛)
情報通信技術の発達をうけて、電子商取引の促進を図るために、従来義務付けられていた書面の交付等に代えて、書面に記載すべき事項等を情報通信技術をもちいた方法によって提供することを認めた。また、組合等の議決権の行使を情報通信技術を用いて行うことができるように、関連法規の規定を改正した。この法律をうけて50本の法律の書面交付に関する記述が改められ、従来の手続きに加え、送付されるがわにの同意を条件に、電子メール等の情報通信技術によっても行えるようになった。
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商法の一部を改正する法律 平成13年 (2001) 法律第128号 (参考: 商法 / 新旧対照条文, 有限会社法, 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律)
株主総会における議決権の行使、会社関係書類の作成等を電磁的方法により行うことを可能にした。
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証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律, (証券決済システム改革法) 平成14年 (2002) 法律第65号 (参考: 短期社債等の振替に関する法律, 他 改正対象となった法律についてはリンク先参照のこと)
安全かつ効率的な証券決済制度等を整備する必要を受けて、社債、国債等について、券面を必要としない新たな振替制度の整備、効率的な決済を可能とする清算機関制度の整備を行った。
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電子商取引における消費者保護
商取引が電子化、ネットワーク化しつつあることに対応して、電子商取引における消費者保護を図る法整備の例
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消費者契約法, 平成12年 (2000) 法律第61号
消費者と事業者との間に、取引に関する情報の質及び量並びに交渉力の差が大きいことをうけて、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとした。また、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護をはかる。
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特定商取引に関する法律, (旧 訪問販売等に関する法律) 平成12年 (2000) 法律第120号、126号
「訪問販売等に関する法律」の題名を「特定商取引に関する法律」に改めるとともに、取引の公正及び消費者等の利益の保護をはかるため、業務提供誘引販売取引に関し、書面の交付義務等の規制および契約の解除等の制度を設けた。また、連鎖販売取引(マルチ商法)に関する規制の強化等の措置をおこなうとともに、割賦販売法における「業務提供誘引販売取引に係る割賦販売等」に関し割賦購斡旋業者に対する消費者等の抗弁を認めるなど。
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電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律, (電子消費者契約法) 平成13年 (2001) 法律第95号 (参考: 電子消費者契約法逐条解説、消費問題に関する法律あれこれ)
事業者と消費者間の電子契約では、消費者が申込みを行う前に、消費者の申込み内容などを確認する措置を事業者側が講じないと、要素の錯誤にあたる操作ミスによる消費者の申込みの意思表示は無効とした。また、契約の成立について、従来は承諾の意思を発した時点で契約が成立すると考える「発信主義」が取られていたが、ネットワーク通信の特性を受けて、これを承諾の意思が相手方に到達した時点で契約が成立すると考える「到達主義」に切り替えるもの。
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参考:電子商取引に関する準則, 2002年7月改定
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通信手段の適正運用
電子的な通信広告手段の乱用を規整する法整備の例
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特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律, (プロバイダ責任制限法) 平成13年 (2001) 法律第137号 (参考: テレサ協ガイドライン)
高度情報通信ネットワークによる情報の流通が拡大したことを受けて、特定電気通信(コンピュータ・ネットワーク通信)による情報の適正な流通を確保するため、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示を請求する権利につき定める。
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特定電子メールの送信の適正化等に関する法律, 平成14年 (2002) 法律第26号
一斉同報される電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることをうけて、特定電子メールの送信の適正化のための措置等を定めることで、電子メールの利用についての良好な環境の整備をはかる。
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特定商取引に関する法律の一部を改正する法律, 平成14年 (2002) 法律第28号 (参考: 特定商取引に関する法律, 特定商取引法の沿革, ZDNetの記事)
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知的財産権
電子商取引においてしばしば取引の対象となる情報財の取り扱いに関する法整備の例
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著作権法の一部を改正する法律, (毎年のように改正されるため改正の状況については、こちらのリンク先を参照してください。)
著作権法の一部を改正する法律, 平成9年 (1997) 法律第86号
無線及び有線による情報伝達手段の発達をうけて、著作者、実演家、レコード製作者、放送事業者および有線放送事業者の権利の適切な保護を目的とし、「送信可能化権」を創設した。また、プログラムの著作物について同一構内(LAN)での送信を著作権の対象とし、あわせて無線又は有線による送信に関する規定の整理等を行う。
著作権法の一部を改正する法律, 平成11年 (1999) 法律第77号 (参考: 行政機関の保有する情報の公開に関する法律)
著作者又は著作隣接権者の権利の適切な保護に資するため、著作物の公の上映に関する著作者の権利を著作物全般に対して拡大。また、著作権等を侵害する行為を防止するために著作物等に付される技術的保護手段の回避を行う装置の公衆への譲渡等を規制し、及び著作物等に付される権利管理情報の除去等を著作権等を侵害する行為とみなすこととした。また、録音物による演奏についての経過措置を廃止し、商店等におけるBGMの使用に対しても著作権使用料を徴収するものとした。
著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律, 平成12年 (2000) 法律第56号
情報伝達手段の発達により可能となった視聴覚障害者のための著作物の利用について自由に行うことができることとするとともに、著作権等を侵害された者の救済を図るための制度を拡大。
著作権法の一部を改正する法律, 平成14年 (2002) 法律第72号
実演家(演奏者や演者)に著作者と同様の権利保護を及ぼす。また、放送事業者の放送を送信可能化する権利を設定。
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特許法等の一部を改正する法律, 平成14年 (2002) 法律第24号 (参考: 特許法, 商標法)
CD-ROM等の媒体に記録されていないプログラム等の発明、プログラム等をネットワーク上で送信する行為に対する特許権の効力を明確化する。また、プログラムのモジュール等、汎用性の高い部品の供給行為を規制するため、間接侵害の成立する範囲を拡大する。 また、商標権の効力が及ぶ行為に、ネットワーク上の商品・サービス提供に伴う標章の使用も含まれることを明確化する。
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不正競争防止法の一部を改正する法律, 平成11年 (1999) 法律第33号 (参考: 不正競争防止法)
営業上用いられる影像又は音の視聴又は記録等に係る技術的制限手段により制限されている視聴又は記録等を技術的制限手段(コピーガード)の効果を妨げることにより可能とする装置(キャンセラー、スクランブル解除機等)、プログラム等の譲渡等の行為の停止及び予防を請求することができることとして不正競争の防止を図る。
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不正競争防止法の一部を改正する法律, 平成13年 (2001) 法律第81号 (参考: 不正競争防止法)
不正の利益を得る目的、または他人に損害を加える目的で他人の特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名の権利を取得する等の行為の停止および予防を請求することができることとする。さらに、外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止の範囲を拡大する等所要の措置を講じた。
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犯罪対策
ネットワーク通信の安全性・健全性を確保することを目的とした法整備の例
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不正アクセス行為の禁止等に関する法律 (不正アクセス禁止法) 平成11年(1999) 法律第128号
電気通信を経由して行われる電子計算機に対する犯罪の防止、およびアクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図るため、不正アクセス行為を禁止するとともに、これについての罰則及びその再発防止のための都道府県公安委員会による援助措置等を定める。
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犯罪捜査のための通信傍受に関する法律 (通信傍受法) 平成11年 (1999) 法律第137号 (参考: 刑事訴訟法)
刑事訴訟法に基づく電気通信の傍受を行う強制処分に関し、傍受令状発付の要件及び手続、傍受の実施の手続、傍受の記録の取扱い、傍受に関する裁判及び処分についての不服申立てその他必要な事項を定める。
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刑法の一部を改正する法律 平成13年 (2001) 法律第97号 (参考: 刑法)
クレジットカード等のはばひろい普及をうけて、その社会的信頼を確保するため、代金又は料金の支払用の力ードを構成する電磁的記録(データ)等の不正作出、所持、これらの電磁的記録の情報の不正取得等の行為についての処罰規定を整備した。
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風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律, 平成11年 (1999) 法律第52号 (参考: 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律, 千葉県警による解説)
ネットワーク上で成人向けの画像や商品の提供・販売を業としているアダルトサイト開設者を風俗営業の一種として同法に組み入れ届出義務を課す等。
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古物営業法の一部を改正する法律, 平成11年(1999)法律第151号 (参考: 古物営業法)
ネットワーク通信を利用した古物取引(中古品売買)について、取引当事者の確認方法を確保することを事業者に義務付けるほか、ネットワーク・オークションにおける盗品等の売買防止等のための規定等を設ける。
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児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 平成11年 (1999) 法律第52号
ネットワーク通信等での「児童ポルノ」の頒布・販売・業として貸与する行為等の罰則付き禁止など。
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風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律 平成13年 (2001) 法律52号 (参考: 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)
ネットワーク上で画像提供型のアダルトサイトを営む者が児童ポルノ映像を送信することを防止するための規定を追加。また、いわゆるアダルトグッズの販売を行う事業者に対する営業停止命令に関する規定の整備等。
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